最初のインスピレーションから作品の完成に至るまでただ一本の道しか見えない、という天才のような例(そんな例が本当にあるのか私は知らない)は別として、実際の芸術制作は、無数に分岐する選択肢のあいだでの決断の連続だろう。その点では芸術も、その他の仕事や日々の生活と根本的な違いはない。違いがあるとしたら、それら選択肢が、日常生活とは質も幅も異なるということだ。いずれにせよ、芸術は瞬間的なひらめきだ . . .
https://note.com/four_d_magazine/n/n938cf369931b
琳派と聞けば誰もが、たとえば光琳の「紅白梅図屏風」なり「燕子花図屏風」なりのことを思い浮かべるとして、頭のなかに思い浮かぶそのイメージに付随しているのはどのような感覚だろう。繊細さ、と言ってしまえば月並みだが、その感覚を慎重に腑分けしてみると、その他の大和絵や狩野派などに比べてさえいっそうシャープな輪郭(じっさいに輪郭線を描くかどうかは別にして)や、純粋なデザインにまで達しかねないある種の . . .
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